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「空き室対策について」A

司会 また「空き室対策」についてお聞かせください。前回は、今住んでいる人が満足する住空間を作り上げることが一番大切で、それが新規のお客様(入居者)へのアピールになる、というお話でした。その他には、どんな対策がありますか?

G 私のところの不動産会社は、すぐに家賃を下げろ、と言ってきますよ。

M 確かにそう言いますね。

G 結局、まわりに新築が建ってきて、相対的に自分の建物は古くなっているのだから、新築の家賃と同じでは勝負にならない、という訳ですよね。ならば、古くなった分、家賃を下げるしかないんじゃないの。

M 下げて決まった部屋もありますしね。

A ・・・・・・でも、そうやって下げていったらキリないのでは・・・・・・。建物や設備が古くなったからその分家賃を下げる、という理屈だと、際限なく家賃を下げ続けなければならなくなりませんか?

M 下げる、と言っても限界はあると思いますが・・。

A たとえば、新築の2DKが7〜8万円で貸せるとして、築15年経ったら5〜6万円が妥当だとします。同じ2DKに住む人で、7〜8万円の人と5〜6万円の人では、あきらかに客層が違うと思うんです。20年経って4〜5万円の客層になっていくとしたら・・・・。こんなことを言ってはなんですが、トラブルとかが増えていくような気がします。ぼくは7〜8万の客層と付き合いたいですね。

G でも、世の中には4〜5万で住みたい客層もいますよ。

A もちろん仰る通りですが、結局、物件の価値が下がった分だけ家賃が下がるわけですから、僕は自分の物件の価値を4〜5万のレベルに落としたくないんですね。

M そのためには、リフォームなどの費用をかけないといけませんね。

D 前回ぼくが読んだオーナー向けの本を紹介しましたけど、そこには、空き室対策には優先順位がある、と書いてありました。

G どんな順位です?

D いや、それは物件ごとに異なるので、普遍的なものはないのですが、少なくとも「家賃の値下げ」が上位ではありません。むしろ最後の方の手段という感じですね。

G 家賃の値下げは最後ですか。貸主としては勇気が出るようなお話ですね。

M その、順位をつける手段とは、どんなものですか?

D その手段というのは、「サービス」「賃貸条件」「設備」「部屋」「建物」「立地」そして「家賃」の7つということです。

A ほう、「サービス」というのは「サービスを良くする」ということですね。

D そうです。前回のときに話題になった「永く住んでくれた入居者にサービスを厚くする」とか「共用部分を綺麗に清潔にしておく」とか「駐輪スペースを用意すると」とか、快適な住空間を提供する、ということです。

A 入居者のクレームに素早く答えるのもサービスですよね。

G 今、いろいろな企業で流行りの「顧客満足度」というやつですね。

M 「賃貸条件」というのは?

A 「ペットを飼ってもよい」とか、そういう条件のことではないですか。

D そうだと思います。

G 年齢とか国籍とか職業とか、賃貸を借りるときに不利になるような条件を緩和するということですね。他人同士で住む「ルームシェア」とか。

D それもあると思います。

A それと、初期費用を少なくすることも「賃貸条件」の中では重要だと思いますね。

G 初期費用? 礼金とか敷金とかですか?

A そう。場所によっては保証金とか敷引きとかですね。

D 賃貸条件を考える、という中では「初期費用」は大切だと思います。たとえば、「礼金と敷金を2ヶ月とる」という条件で募集に2ヶ月要した場合と、「礼金・敷金ゼロ」にして、募集してすぐに決まったのでは、私たちの収入は一緒ですから。

G ふーん。礼金2ヶ月を貰っても、募集に余分に2ヶ月かかれば同じということか。だったらゼロにして2ヶ月以上早く決まった方が得というわけですね。

M さらに「フリーレント」、という条件もある・・。

G なんですかそれは?

M 「フリーレント2ヶ月」というのは、入居しても家賃は2ヶ月分はタダにする、という条件です。

G それじゃ、「礼金ゼロ」にして「フリーレント2ヶ月」にしたら、ふつうの時より4ヶ月早くきまらないと損してしまいますね。

D 4ヶ月以上空いている部屋があるなら、「礼金ゼロ、フリーレント2ヶ月」で、すぐに決めた方がいい、という考えもありますね。

A つまり、家賃を下げてしまうと入居期間中の収入すべてに影響するけど、初期費用を下げるのは、一時の収入減で収まる、というわけですよね。

D それに、他の入居者の家賃とも差がつかない、という利点もありますね。

G そうだ。募集家賃を下げると他の入居者さんも「下げてほしい」と言ってきますものね。

M でも、初期費用を下げたからといって、必ず早く決まるという保証はないわけですよね。

A それはそうですね。早く決まる可能性が高まる、ということでしょう。

M それと、初期費用を下げることによって、質の悪い入居者が入ってきませんか。ぼくは、ある程度の所持金がない人に部屋を貸すのは不安ですけど。

D それはあると思います。ですから、審査と連帯保証人はしっかりしないといけませんね。

A 金銭的に余裕がないので初期費用の少ない物件を選ぶ人と、持ってはいるけど少なく済むならそれに越したことはない人と、見極める必要はありますね。

司会 さて、次は「設備」ということでしたが、これはよく言われている、設備の追加や入れ替えのことですね。

G うん、いよいよお金のかかる話になってきましたね。

M 設備については、便利になったり入居者のニーズの変化で必要になったりする新しい設備と、いままでのものが老朽化して故障が目立ったので入れ替えの必要な設備がありますね。

G その新しい設備といえば、前回Aさんのアパートで設置した「TVドアホン」なんかが代表的なものですね。

A そうですね。セキュリティに関する設備への関心は強いですね。

D 先日、家の近所で分譲マンションのモデルルームを公開していたので、冷やかしで見てきたのですが、営業の方の説明で一番力が入っていたのは「耐震」と「セキュリティ」ですね。

G ああ、なるほどね。

D 特にセキュリティは、まず玄関ドアは鍵が二つあって更に内側からもうひとつ補助キーがついてました。ドア自体もバールでこじ開けることの出来ない材質で、もちろんサムターンにも工夫がしてあります。玄関に人がずっと立っているとセンサーライトが点滅したり、死角になりそうなところには何カ所も防犯カメラ、サッシのガラスも防犯フィルムという念の入れようです。分譲住宅やマンションの設備は、時の一番関心事をついてますから勉強になります。

G 鍵を開け放しでも生活できた、ぼくらの子供の頃を懐かしんでもしようがないんだよね。物騒になったけど、身を守るためには必要なものなんでしょうな。

A 自分の家を所有するなら、自分でお金を負担して必要な設備を手に入れるわけですが、住む場所を借りる場合は、そういうものが付いているところを選ぶ、という行動ですよね。

M まあ、最新の分譲マンションに負けないようなものは付けられませんが、費用対効果を考えた上で、安心できる設備がひとつでも増えれば、お客様に選んでもらえる理由が増える、ということですね。

G 具体的に挙げてみると、玄関ドア関連ではダブルロック、補助キー、シリンダー、サムターン、TVドアホン、センサーライト、などですかね。サッシ関連では防犯フィルム、窓用補助錠(上下)、アラームなど。安全性を高める効果はもちろんだけど、入居者に安心感を与える、という効果が大きいかもしれないね。

司会 さて、セキュリティについての話題に触れたところで、賃貸住宅の防犯対策についてのレポートがありますので、参考までにお伝えします。

 まず、賃貸住宅で盗難事件や盗難未遂事件が起きると、半年以内の退去率が40%を超えるという統計があります。当然、盗難にあった物件は入居率も低くなります。  防犯対策のポイントは「時間をかけさせる」ことだそうです。もっとも普及している「ディスクシリンダー」は構造が単純なため、慣れている泥棒なら1分以内で簡単に解錠してしまうと言われています。ですから「ツーロック」にしたり「カードキー」「ディンプルキー」を採用して、泥棒に時間をかけさせることが大切なようです。

 サッシの話も出ましたが、空き巣ねらいの60%以上が窓ガラスを突き破っての犯行です。なので、防犯フィルムか防犯ガラスが効果的です。防犯ガラスは費用もかかりますが、長期間にわたって安心できます。そのほかに遮音性や紫外線カット性能にも優れていますので、生活騒音をカットし、静かで快適な室内環境をつくりますので、物件の付加価値向上に役立つと言われます。

 共用部分は、とにかく明るくすることが大切です。泥棒に好都合なのは、出入り口が周囲から見えないこと、誰でも自由に出入りできること、インターフォン等の設備がなく訪問者を確認できないこと、そして、出入口内外の照明が暗いことです。防犯カメラや防犯ジャリ、センサーライトなども有効な防犯設備です。

 最後に「泥棒の心理」についてですが、泥棒が狙うための心理は・簡単に入り込める ・確実に稼げる ・捕まらないことです。 そのための準備として、 ・下見をする ・人目に付きにくい家を探す ・留守を確認する ・最初にベランダの掃き出し窓を 狙うとしています。また空き巣を諦める条件としては、 ・侵入に5分以上かかる ・近所の人にジロジロ見られる ・犬がいる ・セキュリティシステムがある ・防犯ガラスがついている ・センサーライトがついている ・防犯ポスターを見た などです。

 賃貸住宅を経営されるオーナーさんは、セキュリティ強化が空き室対策に繋がることはもちろんですが、安全に生活できる居住スペースを提供するという責任からも、防犯対策への関心を高めることが重要であると、このレポートはまとめています。

 話の途中でしたが、関連性のあるレポートでしたので発表させていただきました。「空き室対策のための設備」と「部屋」「建物」「立地」そして「家賃」についての続きは、また次回にお願いいたします。 有り難うございました。


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