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「空き室対策について」@

司会 今回はオーナーさんにとって、今一番の問題である「空き室対策」について色々とお話を伺いたいと思います。

 私は最近、オーナー向けに出版された本を読んでみたのですが、なかなか為になることが書かれていました。その中で印象に残ったのは「空き部屋を埋める事より、今の入居者を大切にせよ」という話です。

司会 なるほど。

 つまり、いくら部屋を埋めることに汲々としても、退室を防がないと満室は続かないわけです。「空き室対策の基本は解約による退室を減らすことである」と。

 でも、入居者の退去は防げないないでしょ。

 たしかに、家を買って出て行く人や結婚・転勤の方を止めることはできません。でも、「同じ賃料でもっと住みよいアパートに引っ越す」とか「○○に不満があるから」という理由での退去は、出来れば防ぎたいですよね。

 ちょうど更新時期だから引っ越そうか、とかね。

 でも、入居者を大切にするって、具体的にどうするのかな。あまり家主が顔を出すと逆に迷惑がられる、と聞いたけど。

 まずは特別のことではなくて、住みよい環境をつくることだそうです。エントランスや通路がいつも綺麗になっているとか。自転車が整理されていたり、空いている部屋の郵便ポストがチラシで一杯、なんてことのないようにしたり。

 それなら私の物件は結構いい状態だと思いますよ。でも、今月も一人出て行くけど・・・・。

 僕の場合は駐輪場がないので自転車は通路に置きっぱなしになってますね(笑)。

 私は20戸の1Kアパートを所有しているのですが、実は管理会社に勧められて、各部屋の玄関ドアにTVドアホンを設置しました。築18年で3点ユニットですし、部屋が4戸空いていて困っていたのです。

 それなら全戸にかけるより、空き部屋の方にもっと集中して費用をかけた方がいいのではないかな。

 そうなのですが、管理会社が言うには、今の独身入居者は「安全性」に対する要望がとても高いそうです。それは来店したお客さんのアンケートで分かるそうですが、退室する入居者の解約理由でも、何人かの人が安全性を理由に挙げていたそうなんです。

 はぁー。安全じゃないから出て行くというわけですか。

 いや、そこまでは言っていないのですが、「安全面の設備がほしかった」という答えが多いようです。
 私の物件は木造アパートなのでオートロックは無理ですから、「じゃ、どんな設備が良いか」と相談したらドアホンを勧められたのです。

 結果はどうですか。

 部屋は、まだ2戸ほど空いてますが、入居者には好評です。先日、更新契約のときに「これで安心して暮らせます」と笑顔で言ってくれた学生さんがいました。

 それが「退室を防ぐ」ことに役に立つかどうか、そこが問題ですね。

 いやでも、今住んでする入居者の不安をひとつ消せたのなら、それで永く住んでくれる可能性が増えた、とは思いますね。

司会 今のお話の中で、なるほどな、と思うのは、空いている部屋にお金をかけるより、住んでいる部屋にお金をかけた方が、お客様である入居者に喜ばれるという事実ですね。

 入居中の部屋にお金を使うのは何か損するような感じですが、でも、そのお金は入居者にあげるのではなくて、自分の資産価値を増やしているんですよね。

 なるほどなぁ。
あと、「退室を防ぐ」ための方法って、何かありますか。

 私は仕事でよく主張するのでビジネスホテルを利用するのですが、受付で「いつもご利用ありがとうございます」と言われると嬉しいですね。常連さん扱い、というか。また、ポイントカードがあって、貯まると一泊分がサービスになります。他愛もないのですが、そんなことでも、そのホテルを使い続ける理由になったりします。

司会 つまり、永く使えばサービスが増える、と。

 現在のビジネスの基本ですよね。世の中、ポイントカードだらけだし。

 私たちの賃貸ビジネスはどうか、と言うと、むしろ永く住んでいる人の方が賃料が高いケースがあります。

 世の中と逆だね。

 でも、それは仕方ないですよね。その時の賃料の水準で契約しているのですから。マンションの購入だって、後で買った人の方が価格が下がったりしていますから。

 ええ、賃料をその都度、相場に合わせて下げるわけにはいきませんが、別のサービスを永く住んでくれた方に与えることは出来ますね。
更新契約のタイミングとかで・・。

 うーん。話は分かるのですが、経費がかかることばかりですね。賃料収入が、空き室や賃料値下げのお陰で減っているので、このうえ経費を増やしたらキャッシュフローが下がり続けてしまうので不安ですよ。

司会 双方のご意見はごもっともですね。
 さて、基本的なことですが、皆様の賃貸経営の目的のひとつは、収益を増やすこと、ですね。収益とは簡単に言えば賃料収入から経費を差し引いたもので、この差を大きくするのが大事な目的のひとつなわけですが・・・・。

 ・・・・経費を節約するあまり、収入をさらに減らしては収益が減ってしまう、というわけですよね。その経費のかけどころが難しい。

 もし、何もしないでいて入居者が退室すると、何ヶ月間も空いたままなるかもしれないし、賃料も下げなければならないこともあるから、だったら、今の入居者に費用をかけても永く住んでもらった方が得ってわけだ。

 更新のタイミングで入居者にサービスをする、としたら、どんな事が考えられる、でしょうか。

司会 たとえばよく聞く話ですが、和室のある部屋に住んでいる入居者が「更新料を払っているのだから畳くらい替えてほしい」とか言いますね。

 うん、更新のタイミングで、何か設備を付加してあげる、ということですね。Aさんの場合のTVドアホンとか、ウォシュレットとか。

 その設備もいくつかあって、入居者が選べるのもいいですね。生活に便利なもの、安心できるもの、希望は様々でしょうから。

 それならルールを守らない入居者にはサービスは与えない方がいいですね。賃料の滞納を常習的にしているとか、共同生活を乱すとか。やはりお行儀良く住んでくれる方に永く住んでもらいたいから、差は付けるべきです。

 不良入居者は早く出て行ってもらった方がいいわけですからね。

司会 さて、貴重なお話を有り難うございました。空き室対策というのは、住む人が快適に暮らせる空間を提供することが大切なわけですが、それには、今住んでいる入居者から実施すべきということですね。
入居者が満足する住空間を作り上げれば、それが新規のお客様への一番のアピールになるわけです。

次回、空き室対策についての続きをお聞かせ下さい。


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