“空き室対策”事例研究 築15年の賃貸住宅。構造は鉄筋コンクリート造4階建、間取りは3DK(和6洋6洋6 DK6)で総戸数28戸です。共益費、駐車料込みにすると、募集賃料は平均10万円です。1戸ずつ空き室が増えて、今では5戸が空いてしまいました。どのようにして満室にすればいいのでしょうか。 @賃料を1万円下げて募集する。 不動産会社の営業担当に聞くと、「周辺では10万円出すと、もっと築年数が新しいか、人気の高いエリアでも借りることが可能なので、案内しても決まりにくい。1万円くらい下げられれば決まると思う」とのことです。 Aこのままの状態で不動産会社に頑張ってもらう オーナーの意見は「家賃は下げたくない。下げれば他の入居者の家賃はどうなるのか。ローンの支払いもあるので全体の家賃収入が1割も減るのは困る。下げるくらいなら決まらなくていい」とのことです。このように仰るオーナーは現実に多いですね。 B100万円の予算でリフォームし、現状の家賃で募集する 100万円かけると、DKと居室6畳をLDKにし、床と壁を張り替え、キッチンセットを新しくすることができます。キッチンを取り替える必要がないなら、他の部屋を少し綺麗にすることも可能です。100万円を銀行から借り入れ、10年で返済すれば月の支払いは1万円弱で済むでしょう。@のように、賃料を1万円下げて募集するのと、差し引きの収入は同じです。 さて、掲げた3つの対策の中で、オーナーさんならどれを選択しますか。 Aで決まるなら、この方法が一番好ましい選択なのは言うまでもありません。しかし決まらずに今日の結果をもたらしています。決まらなかった理由が“不動産会社の怠慢”によるなら、業者を変えるのも方法です。このままでは2割近くが空いてますので、「家賃収入が1割も減るのは困る」というオーナーの嘆きより、現実はもっと深刻な状態が続いてしまいます。 空いている原因を冷静に理解することが重要です。 @の方法は、「下げれば本当にすぐ決まるのか」という疑問があると思います。この答えは「下げないより、ずっと、決まる可能性は高まる」ということでしょう。入居期間を3年間とするなら、「下げないで4ヶ月空けておくより、下げてすぐに決めたほうが得」となります。問題は、 ・他の入居者の家賃をどうするか ・このまま家賃が下り続けないか ・入居者の質が落ちないか などです。競合物件(含む、分譲マンション)をよく調べて、このままの状態でこの物件が得ることのできる賃料を、冷静に理解することが大切です。 オーナーが必要とする家賃を、入居者は払いません。入居者が払うのは、得られるメリット(どれだけ快適に住めるか)への対価だけです。 Bの方法は、「100万円かけて、賃料据え置きの効果が10年(ローン支払い期間)持続するか」「50万円でも賃料据え置きの効果が得られないか」「ただ広くなる、新しくなる、だけでなく、この物件ならではの特徴を持たせられるか」などが大切なポイントです。単に広く新しくするだけなら、ライバルがその後に同じリフォームをすれば、先に工事した分だけ古く、競争力も落ちることになります。創意工夫が必要です。 ただし、適切なリフォームが適切な価格で行われるなら、物件の競争力は増して、物件の寿命も長くなることは間違いないと思います。 @ABの方法の中で、「いつもこれが一番正しい」という答はないでしょう。 大切なのは、 ・空室の理由を正確につかむ ・いくらで貸せるかを冷静に理解 ・中長期的な視野で考える ことだと思います。 そしてその答えは、お客さん(入居者、退去する人、入居しない人)に聞くのが一番です。 さて、どの方法を選ぶにせよ、満室とするために一生懸命になっていただきたい事をまとめてみます。 ○現在の入居者を大切にする いくら新しい入居者を入れても、次から退室が続くようでは満室になりません。いま入居していただいているお客様を大切にするのが一番です。 ・エントランス・共用部分を清潔に ・アンケートなどで入居者が欲しがる設備(低額のものでよい)を追加してあげる ・特に防犯設備を充実させる ・永く住んだ人にサービスを ○空室を魅力ある状態にする 案内されたときに、異臭がしたり湿めっぽかったり、床にほこりが積もってたら問題外です。 空室はお客様を自分の家に招待するがごとく快適な状態にしておきたいものです。 ・玄関にスリッパ、消臭剤など ・オーナーから内見者に「お礼」 のメッセージを用意する ・貸室のセールスポイントを具体 的な表現で掲示しておく ・間取図と巻き尺を用意しておく ・ライフインフォメーション(周辺の買物施設・病院・学校・公共施設等の情報)を用意しておく ○内見希望者の募集に全力を まずインターネットに物件が紹介されていることが基本です。写真・間取図が綺麗なものか、セールスポイントが強調されているか。 そして賃貸物件の紹介サイトはひとつではありません。人気の高いサイトのいくつかに登録されていることが望ましいです。 名古屋市の不動産情報 |