不動産業者との付き合い方 前回、賃貸経営を妨げる「7つの要因」の話をしました。 “空室”“値下がり”“修繕費用”“滞納”など、どれもやっかいな問題ですが、これらを上手く乗り切るためには、不動産会社と上手に付き合う必要があります。 今回は「オーナーに役立つ不動産会社とは?」というテーマで話を進めたいと思います。 「管理」と「仲介」 特に賃貸に力を入れている不動産会社の業務は、「仲介業務」と「管理業務」の2つに分けることができます。 仲介とは、オーナーから預かった物件を入居希望者に紹介し、賃貸借契約にまで導く業務です。 管理とは、家賃集金や苦情処理、建物設備のメンテナンスなど、賃貸経営に必要なことを、オーナーに代わって行ったりアドバイスしたりする業務です。 これらの業務の、どちらを主体にしているかによって「賃貸仲介会社」と「賃貸管理会社」と、呼び名を分けて、話をすすめたいと思います。 結論から言えば、オーナーに役立つ不動産会社とは「賃貸管理会社」であるべきなのです。 [スタンスの違い] スタンス、つまり、どのような立場で仕事をするか、ということですが、「仲介を主体とする会社(以下、仲介会社)」は、オーナーと借主の真ん中という立場にいます。利害が対立しやすい両者の間にいて調整する、といったところです。 「管理を主体とする会社(以下、管理会社)」は、100%、オーナー側の立場です。「オーナーの賃貸経営における収益向上」が目的だからです。 ※「収益の向上」とは、単に家賃収入を増やすとか、経費を節約するのが目的ではありません。 「家賃収入」−「経費」=「収益」の計算式の通り、収入と経費の差額を最大にするのが目的です。必要であれば経費を増やしても、結果として収入が確保できれば収益を増やすことができます。 立場がオーナー側と言っても、借主に敵対する、というわけではありません。むしろ借主に快適に暮らしてもらう事が、オーナーの収益を向上させるためには不可欠です。商売の基本は顧客(借主)の満足が第一だからです。だから、オーナーの利益のために、徹底して借主の満足を追求するのです。このとき大切なポイントは、管理会社はオーナーに対して「イエスマン」ではならない、ということです。目的は「オーナーの収益向上」ですから、そのために必要であれば、必要経費をかけるとか、賃貸条件を緩和するとかの提言を行います。オーナーの要望を、すべて素直に聞いて行動しても、収益を減らす結果では管理会社は失格なのです。 さて、この不動産会社のスタンスの違いが、オーナーにどのように影響するのでしょうか。 [空室発生に対する考え方] 仲介会社の売上は、多くを仲介手数料(契約が成立したときに借主から徴収する報酬。普通は家賃の1ヶ月分)が占めていますから、空室がないと、その手数料が稼げません。だから、原則的に、空室の発生は歓迎です。極端な話ですが、オーナーから預かっている物件から、1年間に一件も空室が出なかったら、仲介会社としては売上のメドが立ちません。 管理会社は、オーナーに対して一番に気にするのが「入居率」です。入居率の高さが、オーナーへの貢献度のバロメーターとなります。したがって、空室の発生は歓迎しません。空室の発生は、「賃料の低下」「修繕費の増大」「空き室の長期化」につながる危険性が、最近ではますます増している状況です。「収益向上」の大きなマイナス要因と捉えます。 [募集に対する基本姿勢] 歓迎しない空室発生が起これば、管理会社は当然のように入居に向けて最大の努力をします。特に、同業の不動産会社に、募集条件をすぐにオープンにします。国が定めている、不動産業者同士が閲覧できるデータベースに登録したり、費用をかけて、業者間にチラシを配布したりします。 とにかく、仲介手数料収入よりも、空室を埋めることを優先します。 仲介会社の中には、空室発生の直後は、できるだけ自社で決めようとして、同業者へ募集条件をクローズするところもあります。あるオーナーが長期の空室にしびれを切らし、別の業者にも募集を頼もうと訪問したときの話です。「私の所有する○○マンションを募集してもらいたいんだが・・」「○○マンションならよく存じてます。でも、募集を任せていらっしゃるA社さんから、空室の情報は来てませんね」「そんなことないハズだが・・」 オーナーの前で、A社に確認電話を入れてみると、「いま空室はありません」という返事。いぶかったオーナーが、今度はお客さんに扮して電話してもらうと、今度は「空いています」という返事が返ってきました。A社では、自社で決めて手数料を得たいために、周りの業者には一切、情報を回していなかったらしい、ということが分かりました。これは明らかに、オーナーに対する利益相反行為となります。 [入居審査するにあたっての基準] 仲介会社は、しつこいようですが、仲介手数料があがってナンボですから、入居審査は甘くなりがちです。 管理会社は、入居審査を厳格に行います。「滞納」は「空室」と同じだからです。たちの悪い借主を入居させると、空いてるときよりも被害が大きくなることさえあります。滞納は収益向上の最大の敵なのです。 さて、「管理会社」と「仲介会社」の違いを説明してきました。少し極端な比較になった感はありますが、オーナーが頼りにできる不動産会社はどちらでしょうか。 賃貸住宅の経営が難しい時代になりました。難しい、と言うよりは、顧客志向の経営と、貸し手中心の経営では、大きな差がでる時代になったと言えるでしょう。そんな時代を乗り切るためには、「オーナーの収益向上に尽くす」ことを目的とし、そのために必要な専門的ノウハウを積み上げた、賃貸管理会社をパートナーとしてください。 鎌ヶ谷市の不動産情報 |