一所懸命になるということA


  賃貸経営に一所懸命になる第一歩は、お客様である「入居者」を大切にすることだと思います。
そして、これから募集する入居者よりも、まず今の入居者を大切にしてください。

例えば、空き室をうめるということは、
水が洩っている入れ物に水を注いでいるようなものです。
水の出の勢いが良い時は多少の漏れがあっても水は満杯になりますが、不景気で水の出が細くなっているときは、水漏れを防がなければ、いっぱいになるどころか減ってしまうこともあります。

同じように、現在の入居者を大切にしないと退室が相次いでしまい、満室経営は不可能になります。

永く住めばメリットがある

  飛行機に乗るとマイルが貯まるという制度があります。
いくらか貯まってくると同じ航空会社を利用しよう、という気持ちになります。
そんなに貯まるほど飛行機に乗る機会がないくせに、です。

  宿泊するホテルでも昔ながらのスタンプカードを作ってくれて、泊まるたびにスタンプを押してくれたりします。一枚スタンプが貯まれば一泊できる、というサービスです。
大したことは無いかもしれませんが、意外と意識するものですね。

 このように世の中では、永く使ったり多く使うと、おまけしたりメリットを与える、という考えが一般的です。
お客様を囲い込もうとしているのです。
多くのお客様に薄利多売でいくのではなく、数少なくなったお客様に繰り返し利用していただいて、売上を確保しようという考えです。
これは商売としては当然の考え方で、一見さんより馴染み客を大事にします。
京都の料亭なら、一見さんは相手にもしてもらえないそうですから。

 しかし賃貸経営では、こういう考え方が実践されている例は少ないですね。
4〜5年住んだ人も、入居したばかりの人も条件は同じです。
いや条件が同じではなく、4〜5年住んだ人より、入居したばかりの人の方が家賃が安いという現象が当たり前です。
これでは世の中の流れと全く逆です。
永く住めば、それだけメリットがあるようにしたいものです。

 契約を解除して退室するときの理由で一番多いのは何かご存じですか?
一番かどうかは分からないのですが、間違いなく多いのは「更新時期がきたから」です。

ある夫婦の会話を想像してみます。

「ねえ、もうすぐこのマンションの更新時期だけど」
「そうか、また更新料とか1か月分以上がかかるんだよな」
「駅前の不動産屋さんで、礼金・敷金ゼロという広告が載ってたよ。手数料の1か月分で入居できるみたいだから、引越し代を余分に払うだけで引っ越せるね」
「そうだな。家賃も下がってるみたいだし、更新を機会に引越しを考えるか」

 こんなやりとり、実際に聞いたわけではありませんが、あり得るな、と想像できます。
更新が「退去」のきっかけになるのでは問題です。
永く住んだだけのメリットを与える事ができないものでしょうか?

  たとえば、更新ごとに設備を付加してあげる、という方法がもあります。
「エアコン」「ウォシュレット」「浴室乾燥機」などの中から好きなものを選ばせるのです。
4年が経ったら畳を交換してあげる、とかです。

この方法のミソは、設備にお金を使ってもオーナーの資産が増える、という事です。決して消えて無くなるわけではありません。
自転車とか液晶テレビをプレゼントすると退去のときに持っていかれてしまいますが、こういった設備なら物件に残ります。
次の募集時には「エアコンつき」「ウォシュレットつき」でセールスポイントとして謳うことができます。
普通は部屋が空いてから次の募集のために設備に費用をかけるのですが、だったら入居中に使った方が退去防止にもなり一石二鳥だと思います。
永く住んだだけメリットが増えた方が解約防止につながる事は間違いないでしょう。
 (次号に続く)


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