コンバージョン


  
最近、ビルやマンション等の賃貸の世界で「コンバージョン」という言葉をよく耳にします。コンバージョンとは、簡単に言えば、時代に適合しなくなった既存の建物を、時代に適合する用途に改修(転用)し、再利用することです。具体的には、オフィスビルの大量空室が発生しているなか、ビルからマンション、ホテル、優良老人ホームなどへの転用が行われています。

 アメリカの事例ですが、90年代のニューヨークでは、IT化の進展で古いビルからグレードの高いビルへの移転が相次ぎ、空室が大量に発生しました(今の日本と同じ状況です)。昼間人口が減り犯罪の多発、そして税収減に対応するために、空いているオフィスを住宅に用途転換するための税収優遇措置が図られ、一気にコンバージョンが加速しました。この5年間にマンハッタン地区のすべてのオフィスビルの床面積の7%にあたる床がコンバージョンされた、というから驚きです。

 アメリカに10年遅れて日本でも同様の事態となり、いまコンバージョンの言葉が業界を駆けめぐっています。
 このオフィスビルから賃貸マンションへのコンバージョンは、大都市だけに限られた現象ではなく、今後はビルの空室に悩む地域ならどこでも採用されていく可能性が指摘されています。

 オフィスビルは商業地に建っているのが通常ですから、立地条件は賃貸マンションとしては競争力がありますから、既存の賃貸住宅オーナーには脅威を与える存在となるかもしれません。
 また、コンバージョンの対象として適しているのはペンシルビルと言われています。理由は、建物を改修する際に、避難路や採光確保の点からも、ワンフロアで一住居確保できるペンシルビルは効率的であり、コスト的なメリットがあるからです。

 いずれにしてもコンバージョンという手段は、経済が低迷しスクラップアンドビルドのしにくい現況下にあって、必然的に生まれたものだと思われます。ビルのオーナーで空室問題を抱えている方は検討の余地があるでしょうし、近隣の賃貸住宅のオーナーは、対策としてますます入居者の満足する賃貸経営を強化する必要があるでしよう。

 コンバージョンに関する続報は、またお伝えする事にいたします。



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