![]() 2回に渡って定期借家権について考えてきました。最近では一般の新聞紙上でも、この制度の記事をよく目にします。世間に広く認知させようという努力がうかがえます。 今回は「まとめ」として、様々なQ&Aに整理してみました。 Q.定期借家権とはどのようなものですか。従来の借家権とは、どこが違うのでしょうか。 A.定期借家権は平成12年3月1日から施行される「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」によって創設された新しい借家権で、従来の借家権とは異なり、契約期間が満了したときに正当事由制度が適用されず、契約が更新されることなく終了する借家権のことをいう。 Q.定期借家権には、どのような効果があるのでしょうか。また、法制化されたねらいはどのような点にありますか。 A.従来の借家権は、契約期間が満了しても原則として、賃貸借契約が継続することになるので、立退きを請求するときは高額な立退料が必要だが、定期借家権は期間が満了すると契約が終了するので、明渡しを要求する場合でも立退料を支払う必要がなく、安心して貸すことができる。これにより良質な賃貸住宅の供給を促進することがねらいの一つ。 Q.定期借家権は、今までの借家権と違って、正当事由が排除されていると聞きましたが、そうすると、契約の更新はどのように行われることになるのでしょうか。 A.定期借家権は、正当事由制度が適用されず、法定更新ということがなく、更に、合意をしても契約が更新されることがない。したがって、定期借家権の場合には、借家人が契約期間後も引き続き居住を続けたいというときには、契約の更新ではなく、再契約をするということになる。 Q.定期借家権は、賃貸借の期間の点では、従来の借家権と何か違うところがあるのでしょうか。また、定期借家権はどの程度の期間で設定できるのでしょうか。最短の期間や最長の期間の定めはありますか。 A.定期借家権は、従来の借家権とは異なり、1年末満の契約は認められないという制限がない。同時に、従来の借家権も、20年以上の期間を認めない、という制限がなくなった。したがって、定期借家権は1年末満でも20年超の期間でも自由に設定できる。 Q.定期借家権で契約をした場合、借家人に契約の中途解約権は認められますか。また、中途解約権を認める場合、予告期間はどの程度で設定しておけばよいのでしょうか。 A.定期借家権のうち、居住用の建物賃貸借(賃貸アパート、賃貸マンション等)で床面積が200u未満のものを自宅として使用している借家人は、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情のある場合には、解約の申入れをすることができ、解約申入れの日から1か月を経過すると賃貸借契約は終了することとされている。 Q.定期借家権では、賃料増減額請求権を排除することもできると聞きましたが、本当ですか。もし、それを排除しようとすると、どのようにすればよいのでしょうか。 A.定期借家権の場合に限って、契約で賃料の改定に関する特約を設けた場合には、賃料増減額請求権の規定は適用されないので、例えば定期借家契約で、「契約期間中は賃料は一切増減変更しないものとする」との特約をすると賃料改定の請求はできないこととなった。 Q.定期借家権は、どのような物件にでも適用されるのでしょうか。 地域によって、あるいは賃貸面積によって制限を受けることはありませんか。また、既存の賃貸建物でも、定期借家権を利用することはできるのでしょうか。 A.定期借家権の利用については、地域や面積、契約期間による制限は一切なく、新規の賃貸建物については、すべての賃貸建物に定期借家権の適用が認められている。ただし、既存建物で既に賃貸している居住用建物の場合には、当事者が賃貸借契約を合意解約しても、同一建物を目的とするときは当分の問定期借家権は利用できない。 Q.定期借家権は、貸し主にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。具体的に教えてください。 A.定期借家権は、@契約期間満了により契約が終了するので、立退料に関するトラブルがない、A空室が発生しない限り借家経営の利回りが確定的に見込め、事業として賃貸住宅経営に取り組める、B既存持家の賃貸による有効活用が可能になる、C契約期間満了による再契約時に、適正家賃への改定が容易になる、D大型物件での賃貸経営が可能になる等々のメリットがある。 Q.定期借家権の設定契約は、従来の借家契約と違うところがあるのか。また、定期借家権を発生させるために必要とされる条件がありますか。有効に定期借家権の設定契約を行うためにはどのようにすればよいか教えてください。 A.定期借家権は、従来の借家契約と異なり、口頭では成立しないので、必ず公正証書等(私製の契約書でも可)の書面によって契約する必要がある。また、定期借家権で契約をする場合には、貸し主はあらかじめ借家人に対し、定期借家権は契約の更新がなく、期間の満了により賃貸借が終了することについて、書面を交付して説明することが義務づけられている。 Q.定期借家権の契約期間が満了すれば、それだけで借家人に対して明渡しを請求できますか。それとも、期間満了時に明渡し請求するためには、それ以外に何らかの条件を満たさなければならないのでしょうか。 A.定期借家契約の期間により結論が異なる。期間が1年末満の場合には、特別の条件はなく、期間が満了すれば、それだけで明渡しを請求できる。期間が1年以上の場合には、契約期間満了の1年前から6か月前までの問に、期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしない限り、期間満了による終了を借家人に対航できない等の制限が付されている。 Q.定期借家契約を締結する場合、事業用の定期借家契約と、居住用の定期借家契約とでは、契約の内容は同じでしょうか、それとも異なるのでしょうか。もし、契約の内容が異なるとすれば、どんな点が異なるのか具体的に教えてください。 A.事業用は、賃貸事業に対する投資の利回りを確保することに主眼がおかれるので、@長期間契約で収益の安定確保、A期間内解約の排除による利回り確定に重点がおかれることになる。これに対し居住用は、転勤等の事情を考慮しなければならない自宅賃貸が多いので、むしろ@比較的短期間契約、A期間内解約の許容が特徴となり、リフォームや立退き等に備えた、立退料の不要な借家という点に重点をおいた契約になると思われる。 Q.定期借家権で契約をする場合、転貸については、従来と異なることになるのでしょうか。法律ではなにか特別の定めはありますか。もし、異なる点があるとすれば・具体的にはどのようなことでしょうか。 A.従来の借家契約では、貸主が転貸を承諾すると、その後、貸主と借主の間で合意解約しようとしても、その解約は転貸人に対抗できないので、不都合が生じた。 定期借家契約で転貸を承諾した場合は、期間が満了すると転貸契約も確実に終了するので、貸主は、転貸に以前ほど神経質になる必要はなくなる。契約期間が多少長期間になる場合、特別な事情がなければ借主の中途解約を認めないとき、転貸できるのであれば、借主も借りやすくなり、客付きのよい賃貸経営も可能。 Q.定期借家権でアパートや賃貸マンションを経営する場合、入居審査が緩和されるのではないかと聞きましたが本当でしょうか。また、定期借家権は明け渡しが確実だから、連帯保証人は不要ではないかと思うのですが、その点はどうなのでしょうか。 A.従来の賃貸住宅では、厳しい入居審査基準が設けられていたが、定期借家権では、明渡しが確実となるため、契約期間内の賃料支払さえ確保(賃料の前払い等)できればある程度入居基準を緩和することが可能である。しかし、定期借家権であっても、賃料不払いの危険性がなくなるわけではないから、原則として連帯保証人は必要と思われる。 Q.定期借家権で契約をする場合、従来の敷金や礼金、権利金といった実務慣行はどうなるのでしょうか。従来の借家契約の場合と全く同じと考えてよいのでしょうか。違うとすれば、どういった点が異なりますか。 A.定期借家権は、長期間継続して賃貸借する権利が確定しているわけではなく、家賃も常に市場に連動したものとなるので、権利金や礼金という慣行には本来なじまないと思われる。これに対し、敷金は契約違反の場合に家主の権利を担保する預り金であるから、定期借家権のもとでも必要となる。 Q.30年以上たつ古い賃貸アパートを所有していますが、取り壊したくても入居者に出ていってもらえません。定期借家権制度を活用したよい方法はないでしょうか。 A.@入居中の借家人に対して定期借家契約に切り替えたり、合意解約の上新規に定期借家契約を結んで、結果的に退去させることはできない。A入居者が出ていって、新たな人に入ってもらうときに定期借家契約にしておくとよい。 Q.定期借地権制度が創設されたときにも相続税評価額については新たな規定が設けられましたが、定期借家権制度の新設に伴い貸家評価や貸家建付地評価についても何らかの変化が生じるのでしょうか。 A.@現在は、地域によって異なるが借家権割合は30〜40%で、この分が相続税評価から差し引かれる。定期借家権になると借家人の権利が弱くなるので、借家権割合が0になることはないが、半分程度に引き下げられる可能性は高い。A借家権割合が変われば、貸家建付地評価も当然変化する。 Q.築35年の賃貸アパート経営をしていますが、取り壊す予定で退去者が出た時点で空室にしています。この状態で相続が起こった場合には、相続税を計算するときに空室部分については建物の借家権や土地の貸家建付地の評価減額がないと聞きました。なにか方法はないでしょうか。 A.@取壊し予定の賃貸物件の空室分は借家権価額が控除されない。 A定期借家権を活用すれば空室を埋めることができ、控除もあり。A定期借家権で、賃貸住宅の物納も認められやすくなるのでは。 海老名市の不動産はセンチュリー21ヒロコーポレーション |